スタンディング巨大クロマグロに挑む!
 

 
 

巨大マグロにスタンディングファイト(スタンドアップファイト)で挑む。場所はニュージーランド南島グレイマウス沖、そのときのドラグは25キロである。出発前にマグロ釣りの第一人者と言われる方から電話をいただいたが「ドラグ22キロでスタンディングは人間には絶対無理!」「PEラインは切れるから使えない」と言われた。
それを上回る25キロでのスタンディングで挑んだ。ラインはPE10号をメインに使った。

結果は全員交代無し、200キロオーバー(最大300キロ)10匹キャッチ(3匹キープ、7匹リリース)だった。


200キロオーバーの10匹すべてを最初から最後までスタンディングでキャッチした。


おそらく日本人として最初の快挙だろう。


※ファイティングチェアー(座ってのファイト)を使用しての報告はあります。
やればできる!
挑戦することが一番大事なのだ。

2年前の夏、ニュージーランドの友人が奥さんを連れてお店に遊びに来た。そのとき聞いた巨大クロマグロの話。身震いするほど興奮した。そしてすぐに計画を立てた。

1回目のチャレンジは1年後の2007年夏。試行錯誤して持参したタックルは現地のクルーに使えないと言われた。そして船の常備品タックルで挑み、8発ヒット、6ラインブレイク、1リーダーブレイク、1キャッチ(182キロ)だった。他に1人日本からケンマツウラのリールを持参したものが142キロの南マグロを釣った。

前半組、後半組各6人で挑んだが、前半の5人は悪天候でファイトの出番もないまま帰国した。後半は全員ファイトしたが、上記の通り8発中7発ブレイクだった。

このままでは終わらない。
また来年挑むことに。多くの人がリベンジを誓った。
2回目のチャレンジの日が来た。俺なりにタックル、システムに自信はあった。

「これなら取れる!」
しかし、また悪天候に遭う。2日に日本を出て、3日、4日、5日と出船できない日が続いた。
6日の朝、やっと出港となった。
巨大マグロとの激闘は4日間続いた。
最初の格闘は1時間55分だった。
エイジが全長実測243センチ、重量船長推定200キロを釣った。
2匹目以降は最終日までリリースすることに。
続いてマットンが挑んだ。
外気温1℃、水温11℃の中で全身水を浴びながらのファイトは4時間以上に及んだ。
ヘルニア2回の経験者が最後まで交代しないで頑張った。
マットンの壮絶ファイトの動画

その1
http://www.youtube.com/watch?v=Wc0pQwdobio&feature=channel_page

その2
http://www.youtube.com/watch?v=VnYPz40-ryo&feature=channel_page
 
しかし4時間46分、船底にラインがこすれてラインブレイク。
以後マットンは2日間激痛で釣りができなかった。
続いて俺がファイティングタイム35分で200キロをタグ&リリース
続いてヒポが

マグロが内側に回ってきたときはロッドを前に出さないと船底に擦れてしまう。
ハーネスをつけているのでロッドが船縁に当たるのは避けられなかった。
250キロを1時間35分で
続いてエイジが200キロを

ファイティング時間が10分と短く写真がない。

※フックを飲み込んでいるとファイティング時間は短かった。
続いて俺が250キロを18分で。
ファーストランは400メートルだった。
一気に寄せて決着。
2日間寝ていたマットンが起きてきて250オーバーを22分で
そして最終日

この日は最初の1匹をキープすることに
エイジが43分で寄せた。
取り込みの動画
http://jp.youtube.com/watch?v=WLJ3ryRlV9c
全長実測273センチ、重量推定270キロ!
あとはみんなリリースするので、持ち回りで記念写真
これはヒポ
そしてマットン
その後もファイトは続く
マットンの安定したファイト
47分でタグ&リリース
タグ&リリースの動画
http://jp.youtube.com/watch?v=lNC2lVen0Gs
280キロのタグ&リリース証明書
続いてヒポ
1時間10分でタグ&リリース
タグ&リリースの動画
http://jp.youtube.com/watch?v=LZe5az9f4wU
300キロのタグ&リリース証明書
クルーも疲れているので、ここで早上がりすることに決めた。
前半組が帰り、後半組が挑んだ。

さらに天候は悪く、どうにか出港できてもすぐに引き返した。
少ないチャンスの中で栓抜きがトップバッターを。
外気温氷点下の中で壮絶なファイトが始まった。
100メートル寄せては100メートル走られるの繰り返し
明るくなった。ヒットしてから3時間経過後に奴はドラグ25キロで250メートル下に潜った。

きつい、苦しい、もう心が折れそうだ。
最後まで諦めず頑張ったが、無念のリーダーブレイク。

3時間40分の壮絶な格闘だった。


ドラグ25キロで3時間経過後に250メートルも出すのだから400キロ以上あったかもしれない。
以後4日間悪天候が続き、ずっと待機した。


あと残り1日となったとき天候が回復した。
ラストチャンスだった。

Q太郎がみんなの期待を背負って頑張った。
ファイトの動画
http://jp.youtube.com/watch?v=dl40Bq1QP5s
ついにマグロがギブアップ。4人で引きずり上げた。
全長実測246センチ、胴回り160センチ、重量推定208キロ!
取り込みの動画
http://jp.youtube.com/watch?v=aSBTecrak1c

ファイティングタイムは44分だった。このときだけ船長に頼まれて船のタックルを使った。我々のタックルならもっと短時間で上がっただろう。ナイロンラインは伸びてしまうのでポンピングしての寄りが遅い。PEラインは寄せに入ってからが早い。

今年も悪天候だったが15回のファイトがあり、10匹をキャッチした。

全員交代しなかった。

上出来といえば上出来かもしれないが、ファイトもできず帰国するものが今年も3名いた。


最強の魚との出会い、そして極限のファイトに挑む、それは簡単な道のりではない。



趣味とか遊びとか思っている人には完全に別の世界である。
最後に俺の誓いを
“交代するときが引退するときと心に誓って巨魚に挑む”
魚への礼儀であり
そして

釣りに人生を賭けた男の言葉です
【データ】

 

ヒットした日時

全長

推定重量

ファイト時間

リール

結果

8618:55

243

200

1時間55

ケンマツ50

キャッチ

8622:04

 

 

4時間46

ティアグラ50W

船底でラインブレイク

8721:05

 

200

35

ケンマツ50

キャッチ

8722:09

 

 

16

ティアグラ50W

リーダーブレイク

8722:52

 

250

1時間35

ティアグラ50W

キャッチ

8803:15

 

 

10

ケンマツ50

船縁でラインブレイク

8804:40

 

200

10

ケンマツ50

キャッチ

8806:17

 

250

18

ケンマツ50

キャッチ

8820:04

 

 

16

ティアグラ50W

ラインブレイク

8822:05

 

250オーバー

22

ケンマツ50

キャッチ

8918:50

273

270

43

ケンマツ50

キャッチ

8921:27

 

280

47

ケンマツ50

キャッチ

81000:45

 

300

1時間10

ティアグラ50W

キャッチ

81205:15

 

 

3時間40

ケンマツ50

リーダーブレイク

81715:40

246

208

44

ティアグラ80

キャッチ

 

 

 

 

 

 

すべてスタンディングファイトで挑んだ。8月6日の4時間46分だけはアングラーが3時間経過後あたりから座ったり、立ったりのファイトとなった。これの一番の原因はハーネスが長時間ファイトに向いてないということ。このファイトだけブレイド社のハーネスを使用したが腰への負担が大きかった。これ以外はブラックマジック社のハーネスを使った。
また長時間ファイトの中には船縁にロッドをあてがった人もいた。またマグロが回ってきて船の内側に入るときは船底に擦れてラインブレイクするのでどうしてもロッドを前に出さなくてはならない。ハーネスで装着しているので、どうしても船縁にロッドが当たってしまうのは避けられなかった。

もちろん全員交代もなければ手伝いもなし。波の高い日は落水防止のため腰の尻手ロープを持つことはあった。

     タックル

□ケンマツ50の場合(ドラグピッチ1.5キロのオプション)

ロッド:カーペンター・ブラックビースト
BB52-B(SG)
メインライン:
PE10号(サンラインPEジガー8HG
リーダー:ナイロン(ダイリキ)
200ポンド20メートル
クランキングリーダー:
ナイロン400ポンド6メートル
ハリス:フロロカーボン(マンユウ)
1503メートル
ラインとリーダーの結束は
PRノット
ドラグ:ストライクポジション
16キロ、ファイティングドラグ25キロ(慣れてない人は22キロ)

※ナイロンリーダーを20メートル入れたのはショックアブソーバーの代わりです。PEは一瞬の衝撃に弱いので。リーダーとクランキングリーダーはループトゥループで結び、その先端に500ポンドのスナップスイベルを付けてフロロの150号です。

 

□ティアグラ50WLRSの場合

ロッド:カーペンター・ブラックビースト
BB52-B(SG)
メインライン:
PE12号(よつあみウルトラダイニーマ)
リーダー:ナイロン
200ポンド20メートル
ハリス:フロロカーボン
1509メートル
ラインとリーダーの結束は
FGノット
ドラグ:ファイティングドラグ
22キロ

 

□ティアグラ80の場合(船の常備品)

ロッド:シマノ80-130用トローリングロッド(カーブバット)
メインライン:ナイロン
130ポンド
クランキングリーダー:ナイロン
500ポンド
リーダー:ナイロン
600ポンド

 

□ハーネス

ブラックマジック社のスタンドアップ用ハーネス
ブレイド社のスタンドアップ用ハーネス(8月6日の4時間46分のファイト時のみ使用)

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